特許事務ブログ

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2022.04.21

ユニークな特許用語(包袋、ファミリー)の解説|特許事務初心者向け 自己学習法 5

特許事務初心者向け 自己学習法

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こんにちは。
未経験者の方が、効率よく特許事務を学習する方法を研究しているK.A.です。

特許事務の仕事をはじめると、多くの専門用語を知ることになると思いますが、私がはじめて聞いたときに面白い用語だなぁと印象に残ったのは「包袋(ホウタイ)」と「ファミリー」でした。

特許担当から、
とりあえず、USのオフィスアクションに対する応答を検討するから"対応するファミリーの包袋"を全部持ってきて
と言われたことがあったのですが、私は「何を持ってくればよいのか」が理解できずフリーズしてしまいました。

これをきちんと説明すると、
US出願で拒絶理由通知を受けたので、US出願したときに基礎となったJP出願と、同じJP出願を基礎出願として出願したUS以外の国(たとえばEP、CN、KRの4ヶ国分の手続書類がファイリングされている書類の束を持ってきてほしい」という意味になります。

経験者であれば「関連するファミリーの包袋」という、わずか12文字で伝わることが、未経験者には上記のように説明しなければ伝わりません。
文字数にすると112文字です(苦笑)。

さらに、当時の私は「基礎となったJP出願」というところでつまずきましたので、上記に加えて基礎出願とは何か?という説明を受けた記憶があります(笑)。

少し余談になりますが、包袋の作り方(書類のファイリングの方法)は会社ごとに微妙に異なり、包袋には企業文化が現れると感じています。

企業ではシンプルに時系列でファイリングすることが多いのですが、特許事務所では、特殊な包袋ケースを使う場合があります。

丈夫な紙で作られた「包袋ケース」を開くと、真ん中と左右の3箇所に書類をファイリングできるようになっています。1箇所は特許庁⇔事務所のやりとり、もう1箇所は事務所⇔クライアント(企業)のやりとり、そして最後は事務所内の書類のみファイルする、のように3つに分けてファイリングします。

特許事務所では特許庁とクライアントの両方に対してやりとりが発生するため、このような包袋が使いやすいのかもしれません。面白いことに、管理ができている職場かどうかというのも包袋の状態を見ると大体分かります。

国内出願の包袋は1案件あたり大体2cmくらいですが、外国出願の包袋となると5~10cmになります。出願件数の多い企業や受任件数の多い特許事務所では、一日に受領する書類は文字通り山積み状態になります。受領した書類に関連する紙包袋をキャビネットから持ち出して関係者に回覧したり、キャビネットに戻したりという作業は結構な力仕事になり、腱鞘炎になったり手が荒れることもありました。

20年前は紙包袋を使っている職場が大半でしたが、スペース不足や倉庫保管費用削減のため、ここ10年くらいで包袋を電子化する職場が増えてきました。また、コロナ禍でリモートワークが必要になり業界では電子化が一気に加速したように感じています。

紙でのやりとりは煩雑な面が多かったのですが、手続の全体の流れや対応ファミリーの動きが理解しやすかったように感じています。大量の紙書類を扱うことで、身体で事務を覚えることができたのだと思います。

もし、あなたが特許事務の仕事の流れを覚えるのに苦労されているようでしたら自分用の紙包袋を作って書類に解説を書き込んだり重要な期限をマーキングするなどしてみるといいと思います。

2022.04.14

特許庁の発送書類と応答書類を見分ける方法|特許事務初心者向け 自己学習法 4

特許事務初心者向け 自己学習法

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こんにちは。
未経験者の方が、効率よく特許事務を学習する方法を研究しているK.A.です。

前回の記事で、手続の流れ(縦軸)と、手続の流れにそって発生する書類(横軸)を意識すると特許事務の仕事が早く覚えられるというお話をしました。

今回は書類の内容を判別するにあたり、最初に意識していただくといいかなと思う「書類の向き」についてご紹介します。
以前の記事でご紹介した「3Dプリンターでつくるオーダーメイドの犬用シューズ」の特許番号(特許第6928360号)を使ってJ-PlatPatで検索してみましょう。

まず、J-PlatPatで番号検索をすると以下のように検索結果が表示されます。

(※クリックして画像を表示)

J-PlatPat検索結果一覧
そこで、「各種機能」の下にある3つのボタンのうち、
「経過情報(赤枠内)」をクリックします。
すると「審査記録」が表示されます。

それでは、ここでクイズです。

次の画像の赤枠内の書類のうち、
どの書類が「出願人から特許庁に提出されたもの」で、
どの書類が「特許庁から出願人に対して発送されたもの」でしょうか?

(※クリックして画像を表示)

J-PlatPat経過記録

答えは、以下の「OPD」ボタン→「書類一覧 開く」ボタンをクリックすると出てきます。

(※クリックして画像を表示)

J-PlatPatOPD

J-PlatPatOPD

J-PlatPat書類情報

上記の「書類情報」で、
黄色になっている箇所が「出願人から特許庁に提出された書類」で、
黄緑が「特許庁から出願人に対して発行された書類」です。
色がついていない箇所は「特許庁で保管される書類」で、出願人に対して発送されるものではありません。

実際に特許事務の仕事をはじめると、「手元に届いた書類が何か」を瞬時に判断することを求められます。ただ、瞬時に判断できるようになるにはしばらく時間がかかりますので、J-PlatPatを使って少しずつ学習しておいていただけると、仕事をはじめたときにかなりラクになる思います。

未経験者の方から「書類を瞬時に判断できるようになるには何件くらい見たらいいですか?」という質問をいただくことがありますが、私の感覚では「100案件くらい」です。同じ出願人の案件を集中して見れば、出願人が提出したのか、特許庁から発行された書類なのか、を瞬時に判断できるようになると思います。

まず、書類名を見て「どちらの向きの書類か」が分かるようになったら、書類の内容もきちんと見るようにしてくださいね。
上記「書類情報」の「原文」をクリックすると書類の中身を見ることができます。

ちなみに、「どの出願人の案件を100件見ればいいのかしら、、、」と悩んだときはこちらを参考にしてください。↓

JPO STATUS REPORT 2022

こちらのレポートの17ページに、2021年の特許登録件数ベスト10の企業が出ています。

どの出願人の案件を見たらいいか分からないときには、こちらに出ている企業の出願を検索したり、あなたが興味を持っている製品を作っている企業をJ-PlatPatで検索するとよいと思います。

同じ企業の出願書類を見ていくと覚えやすいですし、各社の出願手続の傾向も見えてくるので面白いですよ。よかったら試してみてください。

2022.04.08

特許手続の流れを覚えるコツ~縦軸と横軸を意識する~|特許事務初心者向け 自己学習法 3

特許事務初心者向け 自己学習法

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こんにちは。
未経験者の方が、効率よく特許事務を学習する方法を研究しているK.A.です。

20年以上前になりますが、最初に私が担当したのは企業知財部の外国事務担当でした。

当時「外国事務」という言葉に惹かれて、
「学生時代に学んだ英語を活かせるかも!」
と期待に胸を膨らませましたが、
実際に仕事をしてみると英語どころではなく、
日々飛び交う日本語(専門用語)を覚えるので手一杯でした。

しかも、出願手続の流れにそって書類が届くわけではないため、ある書類は出願した直後の内容だったり、ある書類は登録後の年金の内容だったりと、時系列がバラバラです。

届いた書類の内容によって、社内でやるべき事務処理が変わってきますので、書類の判別ができないことには次の作業に移れません。
今思えば、手元にある書類が何かを必死に覚えようとするのではなく、手続の流れ(縦軸)と、手続の流れにそって発生する書類(横軸)を意識していれば、もっと早く仕事を覚えることができたかもしれません。

また外国出願の制度を覚えるときに苦労したのが、パリ条約に基づく直接出願(パリルート)と特許協力条約(PCT)に則った国際出願(PCTルート)の違いでした。私はあまり物覚えがよいタイプではないため、きちんと理解できるようになるまで1年くらいかかったような記憶があります。

私のように未経験からいきなり外国事務の担当をすることになった方は、下記にある特許庁の資料を参考に学習してください。

特許の国際出願って?(PDF)

外国出願で必ず出てくる「優先権主張」や「PCT出願すれば世界中で特許が取れるわけではない」ということも4ページ目でわかりやすく解説されています。ぜひご参考ください。

2022.03.22

特許事務初心者におすすめの専門用語の学習法|特許事務初心者向け 自己学習法 2

特許事務初心者向け 自己学習法

5148075_m_300.jpgこんにちは。
未経験者の方が、効率よく特許事務を学習する方法を研究しているK.A.です。

今回は「専門用語を学習する方法」をお伝えしたいと思います。
未経験者の方が特許事務の仕事をはじめたときに一番衝撃を受けるのは、
「専門用語が多く、指示された作業が何の手続に関わる内容なのかよく分からない・・・」ということではないかと思います。

ちなみに、特許事務の仕事をはじめてすぐに覚えたほうがよい用語の数がどのくらいあるかご存じですか?
私の経験上、日本語・英語あわせて400単語くらいあります。中学1年生で覚える単語がおよそ500単語と言われているので、専門用語400語を覚えるのは結構大変です。

そこで、特許事務の仕事に興味がある方は、実際に仕事に携わる前に少しずつ専門用語に慣れておくとよいと思います。

オススメの勉強方法は、

① 特許などを取得している製品を調べる
② 製品に関する特許手続を実際にJ-PlatPatで見る
③ 専門用語の意味を調べる

です。

それでは①~③の方法を順番にお教えします。

① 特許などを取得している製品を調べる
特許などを取得している製品の紹介サイトをご紹介します。
こちらのサイトから興味のある製品を選んでみてください。
◎特許庁の広報誌 「とっきょ」バックナンバー

◎日本弁理士会 知的財産権の事例

◎独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)のテキスト
知的財産に関する学習用資料の提供
知的創造活動と知的財産テキスト「指導者用」

INPITのテキストには製品誕生秘話と関連する知的財産権の紹介があり興味深いです。また、特許・実用新案・意匠・商標の手続の流れとそれぞれの違いについても解説がありますので勉強しやすいと思います。

※「指導者用」は学習のポイントが解説されているため学習者の方に読んでいただいてもポイントが分かりやすいと思います。ただし、こちらは少し古い情報のため、リンク先が切れている場合や特許庁手続費用が過去の情報になっています。あらかじめご了承ください。

② 製品に関する特許手続を実際にJ-PlatPatで見る
続いて製品の特許等の番号などが分かったらJ-PlatPatで検索して手続書類を見ていきます。J-PlatPatの使い方についてもINPITが提供している資料を活用してみてください。
J-PlatPatの講習会テキスト(全44ページ)

特許事務の仕事を担当するのであれば、44ページ全部を読む必要はなく、
まずは下記のページを見ていただければ十分かと思います。

・p4:年代別公報発行体系(以前は「公告制度」がありました)
・p6:公報フロントページの解説
・p7〜12:番号検索
・p30〜35:経過情報
・p40〜41:産業財産権を調査する目的、メリット、タイミングについて

J-PlatPatの操作についてもっと学習したい方は、以下のテキストも参考にしてみてください。
J-PlatPat操作マニュアル(全150ページ)

③ 専門用語の意味を調べる
一体どれが専門用語なのか?」と思うことがあるかもしれませんが、あなたがテキストやJ-PlatPatを読んで聞き慣れない言葉や意味が分からない言葉が出てきたら、それが「専門用語」に当たると思っていただいてほぼ間違いありません。

なお、専門用語の意味を調べたいときは、特許庁をはじめ、用語解説がされているサイトがありますので、あなたにとって理解しやすいと感じるものを使っていただくのがよいと思います。
今回は、私が特許事務初心者だった頃によく使った用語集をご紹介します。イラスト入りで解説されているので分かりやすいです。よかったら参考にしてみてくださいね。

知的財産用語辞典

2022.03.16

無料で特許手続・制度を学習する方法|特許事務初心者向け 自己学習法 1

特許事務初心者向け 自己学習法

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こんにちは。
未経験者の方が、効率よく特許事務を学習する方法を研究しているK.A.です。

毎年4月に大興グループに入社する新入社員に対して知的財産権に関する基礎研修を担当していますが、そろそろ研修準備のためにテーマを探しはじめることにしました。

研修ネタは特許庁の「広報誌」からピックアップしているのですが、私が猫好きということもあり、昨年は"ねこじゃすり"という広島にある創業120年以上の老舗ヤスリメーカーの製品に関する知的財産権を事例に使いました。

今年は「犬用シューズ」にしようかなと思っています。愛犬の老いを経験して生まれた製品の誕生秘話に胸が熱くなってしまいました。

出典:特許庁の広報誌「とっきょ Vol.51」

わかりやすい製品のため、初めて知的財産権について勉強する方にもとっつきやすいかなと思っています。

◆製品:3Dプリンターでつくるオーダーメイドの犬用シューズ
・特許:特許第6928360号
・商標:商標登録6189587号
・意匠:意匠登録1699989号、意匠登録1650927号、意匠登録1665846号

J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で上記の番号を検索すると出願の経過情報や公報を無料で閲覧できます。

新入社員研修では特許・実用新案・意匠・商標制度についてクイズ型式でワークをしますが、それぞれの制度の違いを意識して学習すると理解しやすいと思います。
もし、あなたが特許事務という仕事に興味があるけど「特許手続の流れや制度についてどうやって勉強すればいいのだろう」と思っていらっしゃるようでしたら、実際に販売されている製品と、製品に関する特許等の手続をみると理解が深まるのでおすすめです。

私が特許事務をしていた頃はJ-PlatPatがない時代でしたので、社内にある特許の書類(包袋と言います)を見て勉強するしか術がありませんでした。今は自社以外の包袋もこうして無料で見ることができ、勉強しやすい環境が整っています。

まずは実際の手続書面を見てみるというところから学習してみてください。

特許第6928360号の経過情報
商標登録6189587号の経過情報
意匠登録1699989号の経過情報
※意匠は1699989号の経過情報URLしか載せていないので、残りの1650927号、1665846号はあなた自身で検索して経過情報を見れるかどうかチャレンジしてみてくださいね。

特許庁のサイトには制度に関する資料が多く掲載されていますので、もしどの資料を読めばよいか迷ったら、初心者の方にはこちらがおすすめです↓
◆参考資料
2021年度知的財産権制度入門テキスト