今回は、意外と知られていないかも知れない日中翻訳における用語の調べ方を紹介します。
調べ方は人それぞれなので、あくまでも自己流なものと考えていただければと思います。
用語調べといえば、真っ先に辞書を思い浮かべる人が多いかもしれません。
現状としては、日中辞書は日英辞書や英中辞書と比べると数が遙かに少ないので、基本的に日本語⇒英訳⇒中訳という流れで用語を調べます。また、日中辞書だけでなく英中辞書に関しても言えることですが、そもそも辞書に載っていなかったり、同じものに対して違う言い方が載っていったり、辞書に載っている訳語をインターネットで検索したらマイナーな言い方だったり、訳語がいくつか羅列されているだけでどれが該当分野に適した言い方が分からなかったりすることがよくあります。そのため、私は辞書だけを当てにせず、ヒントを得る手段の一つとして考えています。
当然ヒント1つでは訳語が特定できないので、インターネットも利用します。
例えば、「ストラットサスペンション」という用語について、辞書からは「撑杆式悬架」という訳語を入手できましたが、本当に合っているかまたは一般的に使われているか分かりませんので、中国の検索エンジンBaiduで完全一致検索を行います。
baidu_search.png
ヒット数が僅か665個で、ヒット内容を見ても自動翻訳サイトや日本特許の中訳などばかりでネイティブ発の技術文献が見当たらないため、中国で一般的な言い方ではなさそうです。
ここは一旦Google JPに戻って「ストラットサスペンション」と検索すると、
stratsus.png
MacPherson Strut」というヒントを得たので、再度Baiduで検索します。
検索結果にそれらしき訳語はありませんが、「MacPherson」の中訳は恐らく「麦弗逊」と分かりました。さらに「MacPherson Strut」と「麦弗逊」を組み合わせて検索したら、ネイテイブ発の技術文献などがちらほら出てくるようになりました。
読んでいくと、大体「麦弗逊悬架」あたりかと推測がついたところで、「麦弗逊悬架」でさらに検索して、ヒット内容を数ページから数十ページ見て、最終的な判断をします。
上記の例は割りと簡単なほうで、日本語⇒英訳⇒中訳では行き詰まるケースも珍しくありません。
例えば、自動変速機分野の「ランププレート」という用語(台湾語訳の例ですが、やり方は基本同じです)。
まず英訳が見つかりません。和製英語のためか、仮に「ramp plate」で検索してもコレジャナイ感しかしません。Google JPから定義も見つかりませんが、ヒット内容からは「エンジンの回転をプーリーに伝えるもの」という情報が得られ、画像検索からは見た目が分かりました。
rampplate.png
次はGoogle TWでいろいろ調べます。
ランププレート」はプーリーやCVTと関連がありますので、それらの単語を組み合わせて調べたり、「プーリー 構造」などで調べたりしていくうちに、なかなか情報がない中、このサイトhttp://www.ridersquare.com/mag/j_costa.htmに辿り着けました。
cvt.png
サイト内の上記画像を見て、対応する台湾語は「壓板」(赤い丸で囲んだところ)である可能性が著しく高いと考えられます。しかし、本当に台湾で一般に通じる言い方なのかまだ分かりませんので、最後に、Google TWで「壓板 CVT」などで検索してヒット内容を確認し、且つ画像検索することで、
cvt_ingoogle.png
ランププレート」の台湾語は「壓板」で問題ないと判断できました。
このように、用語の調べ方はケースバイケースです。
上記以外にも、自動翻訳の訳語を参照したり、特許の場合は同じ出願の中国語公報を参照したり、JIS規格やGB規格を参照したり、該当分野の専門書を読んだりするなど様々なところからヒントが得られます。どれか一つに頼らず、複数の情報源からのヒントを元に総合的に判断することが正解に近づく一番の方法だと思います。