こんにちは。
新入社員のHです。
 
さっそくですが表題の「にも関わらず」、みなさんはこの表記にどこまで違和感を覚えるでしょうか。
この表記、近年よく見かけるように感じます。
 
私自身もつい最近、人に指摘していただくまで気づかずにいたのですが、
この「にも関わらず」という表記、辞書的には誤用であるようです。
 
お手元の辞書を開いていただければ「にもかかわらず」は、
「にも拘わらず」と表記されているかと思います。
(辞書によっては「にも係わらず」などの表記もあります。)
 
「拘」という字には、
 「とらえる」(たとえば拘束)、また「かかずらう」あるいは「こだわる」(たとえば拘泥)
の意味があり、そこが「関」や「係」といった字とは異なる点です。
 
「にも拘わらず」は前半の内容を受けて、それに反する内容を後半に続けるために用いられますが、
そこに「拘」の字があてられてきたことから考えれば、そこには前半の内容に「関係なく」という以上に、
前半の内容に「こだわる」あるいは「かかずらう」ということがまた含意されていると考えられそうです。
 
また「にも」なしの「かかわらず」については、「関わらず」の表記も誤用とまではいえないようですが、
以前は「拘わらず」と表記するのが通例であったようです。
 
私は先日も少しばかり意外なところで、この「関わらず」という表記に遭遇しました。
 
「にも関わらず」の表記をよく見かけるようになったことには、
パソコンなどでの漢字変換において「かかわらず」のみで変換すると、
「関わらず」が真っ先に出てくるということの影響が大きいかと思います。
(さらにその理由としては「拘」の字が訓読みの場合、常用漢字表外であることが考えられます。)
 
テクニカルライティングにおいては「かかわらず」とひらがなで表記すべきとされるこの字、
誤用を避けるためにもそれが適切かと思いますが、
今後通例としては「にも関わらず」の表記も誤用とはみなされなくなっていくのかもしれません。
 
Y.H.