こんにちは。新入社員のK.Mです。

近年、テレビなどの影響で、その土地に住んでいなくても、各地の方言はどんなものなのかなんとな~くわかるようになってきました。広島県外の人が思う広島弁といえば「~じゃけえ」とイメージがついているように思います。ですが、広島弁は「~じゃけえ」だけではありません。テレビなどであまり取り上げられていなくて、広島県外出身の人が知らない方言もまだまだあります。

アビリティの新入社員は約1か月間、他のグループ会社の同期と合同で研修を受けます。もちろんその中には、県外出身者もたくさんいます。(今年は特に多かったようです。)

一方、講師役をしてくださる各社の諸先輩方は、「広島の標準語」(=広島弁)しかしゃべれない方が圧倒的に多いです。私は広島県民なので一言一句理解していましたが、県外出身者は方言が理解できなくてぽかんとした様子でした。後で私が意味を解説すると、驚かれることも多かったです。

そこでこの記事では、オフィスで使われている広島弁の中でも、初めて意味を知った県外出身者が驚いていたものを厳選してご紹介します。

 

①「さし」

「さし」はものさし・定規のことです。合同研修での製図実習のとき「さし、持ってない人は取りに来て」と言われました。県外出身の同期たちは「何だかわからずに取りに行ってみたら定規のことだった」と言っていました。西日本出身者の中には「自分では言わないが、聞いたことはある」という人もいました。

 

②「はあ」

「はあ」は「もう」「すでに」という意味の副詞です。下記の例文のように使われます。

例3:「はあ夜じゃ」(もう夜だ)

例4:「はあ食うてしもうた」(もう食べてしまった)

私は、意味は分かりますが使ったことはありません。特に広島弁が強い人が使うイメージがあります。「はあ」について解説すると、県外出身者は「大きなため息かと思っていた」「あきれられているのかと思っていた」という人が多かったです。広島弁は語気が強いのでそう聞こえていたのかもしれませんね。

 

③方言敬語

オフィスには敬語が必須です。方言敬語と言えば、関西弁の「~しはる」などが有名ですが、広島も方言敬語が発達した地域です。広島弁の方言敬語には、主に「~しちゃった」「~してじゃ」という形があります。

例1:「○○さんが来ちゃった」(○○さんが来られました)

例2:「この本は○○さんが読んでじゃ」(この本は○○さんがお読みになります)

「~しちゃった」については、県外出身者は「~してしまった」という意味だと勘違いすることが多いようですが、これはれっきとした敬語です。

ちなみに、私は学生時代、お隣の岡山県に住んでいましたが、方言敬語を使ってもまったく通じなかったので、使うのをやめていました。広島に来た今では、敬意をたっぷり込めた方言で思う存分話すことができるのですが、一度使わないように癖をつけた言葉なのでなかなか取り戻せずにいます。標準語の敬語よりもやわらかく感じるので、個人的には好きな表現です。

下記の論文(黒崎2005)によると、「~しちゃった」「~してじゃ」という形は広島独特のものではなく、西日本に広く分布しているようです(が、私の経験では広島県民以外に通じたためしがありません)。短くてさらっと読める論文なので、興味のある方はのぞいてみてください。

http://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20170620144951.pdf?id=ART0006299491

 

さて、いかがでしたか?県外出身者がいると、気を遣って標準語でしゃべろうとする人が多いですが、それでも出てくる広島弁。意味を知らずにいると誤解を招くこともあるので、県外出身者にも広島弁を知ってもらいたいなと思っています。下記のリンクは「広島弁辞典」というサイトです。掲載語彙がとにかく豊富なので、広島弁に興味のある方は必見です。

http://ww41.tiki.ne.jp/~naosaku/hiro/a.html

研修が終わってアビリティに配属されてからも、当然ながらオフィスでは広島弁が飛び交っています。(先輩方の話によると、他県の支社でも広島弁が横行しているのだとか…笑)もう一人の新入社員(埼玉県出身)は、引っ越してきてから広島弁が少しずつうつってきています。アビリティの公用語は日本語のはずですが、真の公用語は広島弁なのでは?と私は思っています。